天地有情

[LaTeX] biblatex ~初歩の初歩~ ---- もう一つの[参考文献]生成ツール

biblatex ~初歩の初歩~ ---- もう一つの[参考文献]生成ツール

§1.はじめに

TeX の文献管理といえば bibtex が定番ですが,現在では biblatex + biber というのがあって,
bibtex よりもカスタマイズ化が容易なようです.日本語ドキュメントが皆無ですが,マニュアル
を参考にしながら紹介します.

bib01.png

1.1 インストール

TeXLive/W32TeX などには標準でインストールされていますので,インストール作業は必要ありません.
すぐに利用できる状態にあると思われます.

1.2 マニュアル

コマンドラインから texdoc biblatex を実行してください.
(265ページもある英文マニュアルです)

マニュアルには次のように書かれています.

bib02.png

§2.関連するディレクトリ構成

w32TeX における biblatex に関連するディレクトリ構成を示します.

bib03.png

また,w32tex/bin に次の実行コマンドがあります.

C:/w32tex/bin/biber.exe

§3.サンプル

簡単なサンプルで説明します.

3.1 文献データベースファイル --- myreference.bib

参考文献のリストを出力させるには,はじめに,その拡張子を[~.bib]とした文献データベースファイル
を作成します.これを myreference.bib とします.文字コードは UTF-8 とします.

bib04.png

説明:

(1) [文献カテゴリ]は @book としました.この他に @article, @booklet, など30種あまり用意されています.
(2) [文献引用キー]は,通常は著者名の略称などです.
(3) [フィールド]は author, title, publisher, year にしてありますが,多数あります.

※ 詳しくはマニュアル 2.1 Entry Type の項を参照して下さい.

3.2 文書ファイル --- main1.tex

myreference.bib を取り込み参考文献のリストを出力するための main1.tex を作成します.
文字コードは UTF-8 とします.

main1.tex

bib05.png


説明:

1行目  :クラスファイルは ltjsarticle ですが, article, scrartcl などでも構いません.
      jsarticle, ujarticle などは 末尾の §7,§8 を参照してください.
 
2~5行目:\usepackage[]{biblatex} 
      backend=biber はデフォルトであり記述不要ですが,backend=bibtex の場合は
      明示する必要があります.
      bibstyle=ieee 文献スタイルは多数用意されています.今回は ieee を使用しています.
 
7行目  :myreference.bib のすべての文献を出力するようにしています.

8行目  :\addbibsource は従来の \bibliography に対応しますが,拡張子が必要です.
      複数の .bib がある場合には \addbibsource を使って一つずつ追加していきます.
 
12行目 :出力したい場所で \printbibliography[title=参考文献] を記述します.
      従来の \bibliography{..} に対応します.なお,単に \printbibliography だけだと「参考文献」
      の代わりに「Bibliography」が title になってしまいます.それを避けるために、[title=参考文献]
      として日本語の title を指定しています.

3.3 コンパイル

それでは, main1.tex をコンパイルします.手順は次の通りです.

(1) luajitlatex main1[.tex]
(2) biber main1[.bcf] ---( bcf=bibcotrol file )
(3) luajitlatex main1[.tex]
(4) luajitlatex main1[.tex]

※ [.tex], [.bcf] は省略可能であることを示します.

説明:

(1) main1.tex をコンパイルすると, .bcf が生成されます.
(2) .bcf を biber すると,.bbl が生成されます.
(3) .bbl の情報を本文に取り込みます.
(4) 文献引用が完成します.

3.4 結果 --- 参考文献の出力

bib06.png

§4.citeスタイルのカスタマイズ

4.1 authoryear スタイル

デフォルトは[1],[2],... のような numeric スタイルです.たくさんのスタイルが用意されていますが,
natbibのよう なauthoryear スタイルもあります.
\usepackage[style=authoryear]{biblatex} を指定して,前出例のサンプルで実行してみます.

bib07.png

4.2 結果 --- 参考文献の出力

bib08.png


§5.従来の bibtex を使う

biblatexパッケージには,データのバックエンドとして,従来の bibtex を使用することができます.
\usepackage[backend=bibtex,bibstyle=publist] を指定して,前出例のサンプルで実行してみます.

5.1 文献データベースファイル
(myreference.bib)は前出と同じです.

5.2 文書ファイル --- main2.tex

main2.tex

bib09.png


説明:

3行目:backend=bibtex を指定しています.

4行目:bibstyle=publist を指定しています.

5.3 コンパイル --- pbibtex を使用

(1) luajitlatex main2
(2) pbibtex -kanji=utf8 main2
(3) luajitlatex main2
(4) luajitlatex main2

5.4 結果 --- 参考文献の出力

bib10.png

§6.bibtex8 (8bit,強化版)について

従来の bibtex のバイナリが biblatex を実行するのに十分ですが,文献リストが[欧文の場合に限り]
bibtex8 を使用することが勧められています.

6.1 文献データベースファイル --- myref.bib (欧文のみのbibファイル)

bib11.png

6.2 文書ファイル --- main3.tex

main3.tex

bib12.png


6.3 コンパイル --- bibtex8 を使用

(1) luajitlatex main3
(2) bibtex8 main3
(3) luajitlatex main3
(4) luajitlatex main3


6.4 結果 --- 参考文献の出力

bib13.png

§7.uplatex + biber

7.1 文献データベースファイル

(myreference.bib)は前出と同じものを使います.

7.2 文書ファイル --- main4.tex

main4.tex

bib14.png


説明:

1行目,3行目: クラスファイルは jsarticle オプション[uplatex]付き,あるいは ujarticle を使います.
 
6行目    : backend=biber を指定しています.

7.3 コンパイル --- uplatex + biber を使用

(1) ptex2pdf -l -u main4
(2) biber -E=utf8 -u -U main4
(3) ptex2pdf -l -u main4
(4) ptex2pdf -l -u main4

※ (2)のオプション説明:
    -E --bblencoding のshortcut
    -u --input_encoding=UTF-8 のshortcut
    -U --output_encoding=UTF-8 のshortcut

いずれも, コマンドラインから biber --help を実行するとオプション説明が得られます.

7.4 結果 --- 参考文献の出力

bib15.png


※ 書名がゴシック体,欧文がイタリック体で表示されています.

§8.ptex-ng + biber

新しい処理系 ptex-ng を使った場合,上記 §7.と全く同様です.コンパイルは,

(1) platex-ng main4
(2) biber -E=utf8 -u -U main4
(3) platex-ng main4
(4) platex-ng main4

§9.uplatex + pbibtex

前出(§7)において,backend=bibtex とした場合のコンパイルは pbibtex を使います.

(1) ptex2pdf -l -u main4
(2) pbibtex -kanji=utf8 main4
(3) ptex2pdf -l -u main4
(4) ptex2pdf -l -u main4

※ (2)で pbibtex の代わりに upbibtex を使うと,ビジー状態になりコンパイル失敗となります

EOF
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  1. 2014/12/27(土) 13:57:55|
  2. LaTeX Tools

[LaTeX] xindy 備忘録 --- もう一つの日本語[索引]ツール

xindy 備忘録 --- もう一つの日本語[索引]ツール

§1.はじめに

xindy は LaTeX のために広く使用されている 索引作成プログラム の一つです.
xindy は英語以外の言語サポートを備えおり,また,索引スタイルはモジュール対応となっています.(.xdy)

日本語索引の生成は,W32TeX主宰の角藤先生のご尽力により,xindy が ptexindy コマンドにより,
利用できるようになりました.

ptexindy は,xindy に基づいた platex, uplatex 用のindex processor です.lualatex, xelatex と共に
使用することもできます.

最初に,コマンドラインから
texdoc ptexindy
(C:\w32tex\share\texmf-dist\doc\support\ptexindy.pdf)
を実行し,最初にお読み下さい.

1.1 インストール

TeXLive/W32TeX などには標準でインストールされていますので,インストール作業は必要ありません.
すぐに利用できる状態にあると思われます.

1.2 マニュアル

コマンドラインから texdoc xindy を実行してください.
また,C:\w32tex\share\texmf-dist\doc\xindy\manual.html および manual-1~7.html もあります.

§2.サンプル

TeX QA:一般フォーラム
に添付されている testind.zip 中の upindtest.tex
および,C:\w32tex\share\texmf-dist\doc\support\ptexindy にある stysample.xdy を利用させて頂き,試行してみます.

(uplatex で処理する例です)


2.1 ソースファイル

   upindtest.tex の一部は次の通りです.

ind01.png


2.2 コンパイル

   次の手順で実行します.

   (1)ptex2pdf -l -u upindtest.tex
   (2)ptexindy -M texindy -M page-ranges -M stysample -L japanese -C utf8 upindtest.idx
   (3)ptex2pdf -l -u upindtest.tex

     補足:
     (1)の操作で .idx が生成される.
     (2)の操作で .ind が生成される.
     (3)の操作で .ind ファイルを取り込んで完成させる.

2.3 結果

   upindtest.pdf の一部は次の通りです.

ind02.png


2.4 もう一つのコンパイル方法

   この例の場合,ptex-ng 処理系でもコンパイル可能であり,次の手順になります.

   (1)platex-ng upindtest.tex
   (2)ptexindy -M texindy -M page-ranges -M stysample -L japanese -C utf8 upindtest.idx
   (3)platex-ng upindtest.tex

EOF
  1. 2014/12/18(木) 13:49:14|
  2. LaTeX Tools

[LaTeX] pdfcomment --- ソースレベルでPDFにコメントなど追加

pdfcomment --- ソースレベルでPDFにコメントなど追加

§1.はじめに

完成したPDF にコメントやテキストなどを後から追加する編集ツールは幾つか存在します.
しかし,pdfcomment.sty は LaTeX ソースレベルで編集コマンドを埋め込んで実現します.
本編は pdfcomment.sty の使い方について説明します.

comment01.png

1.1 インストール

TeXLive/W32TeX などには標準でインストールされていますので,インストール作業は必要ありません.
すぐに利用できる状態にあると思われます.

1.2 マニュアル

コマンドラインから texdoc pdfcomment を実行してください.

§2.LaTeX2e 文書での指定方法

プリアンブルに
   \usepackage [<global options>] {pdfcomment} を記述します.

2.1 書式のサンプル

  基本的な書式例を示します.
  
  sample.tex

comment02.png

  ★クラスファイルは ltjsarticle を使っていますが,scrartcl や article でも構いません.
  ★文字コードは UTF-8 とします.

2.2 コンパイルの仕方
  luajitlatex sample.tex
  または
  lualatex sample.tex

2.3 コンパイルの結果
  正しくコンパイルできたら sample.pdf が生成されます.
  コメント部分をクリックすると,コメントがポップアップ表示されます.

§3. サンプル

(1)パッケージオプション および コマンドの種類は巻末の(§4) を参照して下さい.

(2)ソースファイルのプリアンブル部を以下に示します.

prog01.png

(3)\begin{document}~\end{document}間に以下を記述します.

prog02.png


   a) コメントアイコンをクリックすると,ポップアップコメントが表示されます.
   b) ノートアイコンのポップアップコメントは常に表示されています.
     これは \pdfcomment [..,..,open=true] が指定されているためです.
    コメントは英語表記ですが,日本語表記にするには,次のようにします.

change01.png

change02.png

   c) ☆アイコンを表示させます.クリックすると,ポップアップコメントが表示されます.

prog03.png


   d) フリーテキストコメントの例を示します.

prog04.png


   e) フリーテキストコメントの タイプライタフォント

prog05.png

(4)pdfsidelinecomment環境

pdfsidelinecomment環境を使用すると,マージンの2つのラインの形でページをコメントすることができます.

prog06.png

prog07.png


§4. パッケージオプション および コマンドの種類

4.1 グローバルオプション

comment03.png


4.2 ローカルオプション

comment04.png

comment05.png


4.3 コマンド

comment06.png


  1. 2014/12/17(水) 10:39:14|
  2. LaTeX Tools

[LaTeX] lipsum, kantlipsum, blindtext --- ダミーテキストの生成

lipsum, kantlipsum, blindtext --- ダミーテキストの生成

§1.はじめに

1.1 ダミーテキストとは:
書籍やウェブページや広告などのデザインのプロトタイプを制作したり顧客にプレゼンテーションしたりする際に,
まだ正式な文章の出来上がっていないテキスト部分の書体(フォント),タイポグラフィ,レイアウトなどといった
視覚的なデザインを調整したりわかりやすく見せるために用いられます.これらの目的のため LaTeX では,
lipsum, kantlipsum, blindtext などの ダミーテキスト用スタイルファイルが用意されています.

lipsum07.png


自分は主に次のような利用をしています.

・版面の上下左右の余白の調整
・文字サイズと行間隔の調整
・スタイルファイルの試用に使うダミーテキスト

1.2 インストール

TeXLive/W32TeX などには標準でインストールされていますので,インストール作業は必要ありません.
すぐに利用できる状態にあると思われます.

1.3 マニュアル

コマンドラインから それぞれ次を実行してください.

  ・texdoc lipsum
  ・texdoc kantlipsum
  ・texdoc blindtext

以下は,lipsum, kantlipsum, blindtext の3つのスタイルファイルの使用方法についての説明です.

§2.lipsum.sty

lorem ipsum(ロレム・イプサム、略してリプサム lipsum ともいう)

LaTeX でこの lipsum を埋め込むには,lipsum パッケージを使用して本文中で \lipsum と記述します.
以下の例ではオプションをつけて、第1段落から第2段落までの出力を指定しています.

lipsum01.png


これをタイプセットすると以下のような文書ができます.

lipsum02.png


日本文のダミーテキストに関しては lipsum のようなものがなく,ネット調査してみると,たとえば,
すぐ使えるダミーテキスト」というサイトでは夏目漱石「私の個人主義」や宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」などを
もとに生成されたテキストが利用できます.

lipsum.sty の英文テキスト部分を和文テキストに置き換えた lipsum-ja.sty(個人用) を作成し,
第1段落から第2段落までの出力を指定した例を示します.なお,和文テキストは上記の「すぐ使えるダミーテキスト」
サイトから,夏目漱石「私の個人主義」を適当に分割して コピーペースト したものです.

lipsum03.png


これをタイプセットすると以下のような文書ができます.

lipsum04.png



§3.kantlipsum.sty

基本的な使い方は上記の lipsum.sty とほぼ同じです.
kantlipsum パッケージを使用して本文中で \kant と記述します.

lipsum05.png


これをタイプセットすると以下のような文書ができます.

lipsum06.png



§4.blindtext.sty

このパッケージを使用すると,lipsum, kantlipsum と同様にダミーテキストを作成することができます.
さらに構造化されたドキュメントの出力もできます.

プリアンブルに \usepackage {blindtext} としておいて、本文中に,

  \blindtext
  \Blindtext
  \blinddocument
  \Blinddocumet
・・・
などとすると,各種のダミーテキストが得られます.

典型的な LaTeXフォーマット を示します.

blind03.png


4.1 利用できるコマンド一覧

blind01.png


blind02.png



4.2 いくつかの使用例

  (1)\blinddocument(または \Blinddocument)を使用すると,完全なダミーの文書が取得できます.
     \blinddocument は section, subsection, subsubsection, paragraph の文書と
     list(itemize, enumerate, description)リストを作成します.
     なお,\Blindtext は長いテキストを取得するときに使用します.

  (2)\blindtext(または \Blindtext)はダミーテキストのみが得られます.
     なお,\Blindtext は長いテキストを取得するときに使用します.

  (3)\usepackage [math] {blindtext} のように math オプションを付加し,本文に \blindmathpaper を
     記述すると数式が活性化させられます.

  (4)\usepackage [toc] {blindtext} のように toc オプションを付加し,本文に \blinddocument を
     記述すると目次が活性化させられます.(2回コンパイル要)

  その他は先に掲げたコマンド一覧で実験し,出来上がりのダミーテキストを確認してください.

  1. 2014/12/09(火) 13:28:44|
  2. LaTeX Tools