天地有情

[OrCAD] OrCADによる「積分器を用いた二次遅れ系の過渡応答」編

OrCADによる「積分器を用いた二次遅れ系の過渡応答」編

入力信号 R(s) と出力信号 C(s) の入出力関係が次式で示される伝達関数 G(s) を 二次遅れ要素 といいます.
s はラプラス変数を示します.

2nd_lag0A.png


この G(s) に入力信号として,ステップ信号を印加した場合の出力信号(過渡応答)をステップ応答といいます.
本編では二次遅れ要素に対する ステップ応答 を調べます.

なお,OrCADの基本的な操作は ”OrCAD による「電気・電子回路設計」事始め” をご覧ください.

§1 積分器を用いた二次遅れ系の過渡応答

二次遅れ系の過渡応答は3つのカテゴリに分類されます.それらは 過制動臨界制動 そして 不足制動 です.
条件(減衰率)により振動したり(不足制動),振動するかしないかの限界(臨界制動)だったり,非振動(過制動)の現象となります.

【豆知識】∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
二次遅れ要素の伝達関数の標準形式は(1)式で表され,積分器を用いた二次遅れ系の伝達関数は(2)式で示されます.
(1)式と(2)式を対比すると(3)式と(4)式が得られます.

なお,式中の T は積分時間を,H はフィードバック要素の伝達関数を表します.

2nd_lag0B.png


ζ(減衰率) の値が
   (1)0<ζ<1 のとき出力は振動的(不足制動)
   (2)ζ=1 のとき出力は非振動的(臨界制動)
   (3)ζ>1 のとき出力は非振動的(過制動 )
となります.
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

1.1 例題

積分器を用いて 式(2) を満足するブロック線図を次に示します.

2nd_lag01.png


積分器の伝達関数は 1/(Ts) で T は積分時間と呼ばれ,Gain(H) は 式(4)から H=2ζ(∴ ζ=H/2 ) となります.
ここで,
T=10秒,H=0.4(ζ=0.2), H=1.0(ζ=0.5), H=2.0(ζ=1.0) としたときの出力電圧を 0s~200s までのトランジェントを行います.

1.2 回路図と設定値

(1)パラメータ設定値

部品名       シンボル  設定値
------------------+--------------+-----------------------------
電源        V1~V3     1vac vpwl(0,0 10us,12v 10ms,1v) --(時間,電圧)の対;step信号を生成
抵抗        R1~R3     1kΩ
積分器       INTEG      Gain=0.1(この逆数が積分時間で10秒), IC=0v(初期電圧)
比較器       DIFF      IN2-IN1=OUT
------------------+--------------+-----------------------------

(2)回路図

2nd_lag02.png


(1) H=0.4 (これはζ=0.2に相当する) --- 振動 (不足制動)
(2) H=1.0 (これはζ=0.5に相当する) --- 振動 (不足制動)
(3) H=2.0 (これはζ=1.0に相当する) --- 非振動(臨界制動)


1.3 シミュレーション

(1)シミュレーション設定

Analysis type = Time Domain(Transient)
Option = General Settings
Run to time = 200sec
Start saving data after = 0sec


(2)シミュレーション結果

2nd_lag03.png



(EOF)
スポンサーサイト
  1. 2016/01/09(土) 13:46:59|
  2. OrCAD

[OrCAD] OrCADによる「過渡現象」編

OrCADによる「過渡現象」編

すべての回路は最初にエネルギーが与えられるとき,少なくとも短時間の過渡条件を受けるであろう.
以下の回路で過渡現象を調べてみます.

基本的な操作は ”OrCAD による「電気・電子回路設計」事始め" をご覧ください.

§1 RL回路でスイッチを開閉するときの動作

1.1 例題

R=100Ω ,L=0.1H,V=DC1Vのときの主電流Iを 0~10ms までのトランジェントを行います.


1.2 回路図と設定値

(1)パラメータ設定値

部品名       シンボル  設定値
------------------+----------+---------------------------------
電源        V1     1vdc vpwl(0,0 10us,1v 10ms,1v) --(時間,電圧)の対;step信号を生成
抵抗        R1     100
誘導性リアクタンス L1     0.1H
スイッチ      U1     Sw_tClose (0)
------------------+----------+---------------------------------

(2)回路図

kado01.png



1.3 シミュレーション

(1)シミュレーション設定

Analysis type = Time Domain(Transient)
Option = General Settings
Run to time = 10ms
Start saving data after = 0ms


(2)シミュレーション結果

kado02.png



【考察】
● 電流が即座にその最終値 V/R=10mA にはならず指数関数的に立ち上がる.
● 時定数 γ=L/R は電流が最終値の 63.2% に達するまでの時間である.この場合は 1msec である.


§2 RC回路でスイッチを開閉するときの動作

2.1 例題

R=10kΩ ,C=0.1uF,V=DC1Vのときの主電流Iを 0~10ms までのトランジェントを行います.


2.2 回路図と設定値

(1)パラメータ設定値

部品名       シンボル  設定値
------------------+----------+---------------------------------
電源        V1     1vdc vpwl(0,0 10us,1v 10ms,1v) --(時間,電圧)の対;step信号を生成
抵抗        R1     10k
容量性リアクタンス C1     0.1uF
スイッチ      U1     Sw_tClose (0)
------------------+----------+---------------------------------

(2)回路図

kado03.png



2.3 シミュレーション

(1)シミュレーション設定

Analysis type = Time Domain(Transient)
Option = General Settings
Run to time = 10ms
Start saving data after = 0ms


(2)シミュレーション結果

kado04.png



【考察】
● 電流が即座にその最終値 V/R=0A にはならず指数関数的に立ち下がる.
● 時定数 γ=CR は電流が最終値の 36.8% に達するまでの時間である.この場合は 1msec である.


§3 RLC直列回路でスイッチを開閉するときの動作

RLC直列回路のとき,過渡応答は3つのカテゴリに分類されます.それらは過制動,臨界制動そして不足制動です.
条件により振動したり(不足制動),振動するかしないかの限界(臨界制動)だったり,非振動(過制動)の現象となります.
RLC直列回路は二次遅れ要素であり次のような特徴があります.

【豆知識】∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
二次遅れ要素の伝達関数の標準形式は(1)式で表され,RLC直列回路の伝達関数は(2)式で示されます.
(1)式と(2)式を対比すると(3)式と(4)式が得られます.

kado05A.png


ζ(減衰率)の値が
   (1)0<ζ<1 のとき出力は振動的(不足制動)
   (2)ζ=1 のとき出力は非振動的(臨界制動)
   (3)ζ>1 のとき出力は非振動的(過制動 )
となります.
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

3.1 例題

L=10mH,C=1.56nF,V=DC12Vのときの出力電圧を 10us~10ms までのトランジェントを行います.

3.2 回路図と設定値

(1)パラメータ設定値

部品名       シンボル  設定値
------------------+----------+---------------------------------
電源        V1~V3     12vdc vpwl(0,0 10us,12v 10ms,12v) --(時間,電圧)の対;step信号を生成
抵抗        R1~R3     R1=200, R2=160,R3=60
誘導性リアクタンス L1~L3     10mH
容量性リアクタンス L1~L3     1.56uF
スイッチ      U1~U3     Sw_tClose (0)
------------------+----------+---------------------------------

(2)回路図

kado06.png


(1) R=200Ω(これはζ=1.56に相当する) --- 非振動(過制動)
(2) R=160Ω(これはζ=1.0に相当する) --- 非振動(臨界制動)
(3) R=60Ω (これはζ=0.14に相当する)--- 振動 (不足制動)

※ 式(4)にRの数値を代入して確認できます.

3.3 シミュレーション

(1)シミュレーション設定

Analysis type = Time Domain(Transient)
Option = General Settings
Run to time = 10ms
Start saving data after = 10usec


(2)シミュレーション結果

kado07.png



(EOF)
  1. 2016/01/05(火) 09:12:09|
  2. OrCAD

OrCAD による「交流回路」編

OrCAD による「交流回路」編

OrCAD で RLC直列共振,RLC並列共振を調べてみます.
基本的な操作は ”OrCAD による「電気・電子回路設計」事始め”をご覧ください.

§1 RLC直列共振

直列共振はRLC回路において入力インピーダンスが純粋に抵抗分のみとなった場合に生じます.
このとき誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスは互いに打ち消し合って電流は最大となり
回路の位相角はゼロになり,電流と印可電圧は同相になります.
共振周波数は次式により容易に求めることができます.

equation.png


1.1 例題

R=50Ω ,L=20mH,C=150nF,V=AC1Vのときの主電流Iを 0~5kHz までの線形スイーブを行います.

1.2 回路図と設定値

(1)パラメータ設定値

部品名       シンボル  設定値
------------------+----------+-------
電源        V1     1vac
抵抗        R1     50
誘導性リアクタンス L1   20mH
容量性リアクタンス C1  150nF

(2)回路図

rlc01.png


1.3 シミュレーション

(1)シミュレーション設定

Analysis type = AC Sweep/Noise
Option = General Settings
   Start Frequency = 100
   End Frequency = 5000
   Total Point = 99

(2)シミュレーション結果

rlc02A.png


2.9kHz付近で電流20mAとなる.



§2 RLC並列共振

並列共振回路を解析する式は直列共振回路のそれよりもかなり面倒です.
OrCAD を用いた解析によれば,容易に共振周波数ならびに共振時における
入力インピーダンスを求めることができます.以下の例題で確認します.

2.1 例題

R1=1Ω ,R2=10Ω, R3=5Ω ,L=2.04mH,C=0.65μF ,V=AC1Vのときの主電流Iを4~5kHzまでの線形スイーブを行います.

2.2 回路図と設定値

(1)パラメータ設定値

部品名       シンボル  設定値
------------------+----------+-------
電源        V1     1vac
抵抗        R1     1
抵抗        R2     10
抵抗        R3     5
誘導性リアクタンス L1   2.04mH
容量性リアクタンス C1   0.65uF


(2)回路図

rlc03.png


2.3 シミュレーション

(1)シミュレーション設定

Analysis type = AC Sweep/Noise
Option = General Settings
   Start Frequency = 4000
   End Frequency = 5000
   Total Point = 1001

(2)シミュレーション結果

rlc04A.png


共振時の周波数は4.37KHz,電流は4.66mAとなります.

(EOF)
  1. 2015/12/24(木) 13:42:31|
  2. OrCAD

OrCAD による「電気・電子回路設計」事始め


OrCAD による「電気・電子回路設計」事始め

§1 はじめに

OrCAD_16.6_Lite は回路設計エンジニアの助けになる,大変便利なツールです.設計者の理解を助けるのに,大変役に立ちます.
古くは PSpice(MicroSim社) と呼ばれていました.

1.1 OrCAD とは

まずは簡単な沿革から:
1985年ーOrCADは、1985年創立.社名は "Oregon州のCAD会社"を組み合わせ命名された.
1995年ー自動配線ツールを提供していた Massteck Ltd を買収する.
1997年ーMicroSimを統合し, Pspiceを獲得する.
1999年ーOrCAD とその製品群を米国 Cadence(ケイデンス・デザイン・システムズ社)が買収.現在に至る.

1.2 OrCAD_16.6_Lite のダウンロードとインストール

2015年12月時点では,OrCADのバージョンは16.6でデモ版に限ります.(OrCAD_16.6_Lite)
デモ版でも基本的な機能は充実していて,電気電子回路の学習には最適です.
Cadence(ケイデンス)社のページからデモ版をダウンロードできます.

http://www.orcad.com/resources/orcad-downloads

ここで,サインイン します.そして以下の Software requested があり,選択します.

1. OrCAD 16.6 Lite Software (All products, download)
2. OrCAD 16.6 Lite Software (Capture / PSpice only, download)
3. OrCAD 16.6 Lite Software (All products, DVD mailed)

こちらでは, 2. を選択しました.とりあえず,これで終了です.
あとは,あなたのメール受信箱に "Download" メールが届くはずです.
ガイドに従って,ダウンロード後,インストールします.
インストール先はこちらでは C:\OrCAD\OrCAD_16.6_Lite としました.

当方のPC環境は Windows10 64bit Core i7-5500U です.

それでは,いよいよ OrCAD を起動し,回路の設計をしてみます.

§2 起動とライブラリ(部品)選択

(1) OrCAD Capture CIS Liteを開く.

「スタート」 ⇒ 「すべてのアプリ」 ⇒ 「Cadence」 ⇒「OrCAD Capture CIS Lite」の順で開く.

orcad01


(2) OrCAD 「Start Page」 が立ち上がる.

orcad02

(3)「New Project」 をクリックする.

orcad03


New Project のName欄にプロジェクト名を記入する.ここでは 「Example_Circuit」 とした.
Create a New Project Usingの欄では,Analog or Mixed A/D の項目にチェックを入れる.
Locationの欄にプロジェクトの保存場所を指定する.Browseボタンをクリックして,適切な場所を指定する.
ここでは,C:\OrCAD¥OrCAD_16.6_Lite\tools\capture とした.[OK]ボタンを押す.

orcad04


(4)続いて,Create Pspice Project が表示される.

Create PSpice Projectダイアログ上で,Create a blank project にチェックを入れる.

(5)プロジェクトの作業画面が現れる.PAGE1タブのシートに回路図を作成する.

orcad05

(6)「Place」をクリックし,「Part…」をクリックする.

orcad06

(7)画面右の Add Library をクリックする.

orcad07


(8)Browse File のダイアログ上で,必要なライブラリを追加する.
必要なライブラリは以下を参照.

orcad08


【ライブラリの追加】--- 後述の例題で使用する部品

Liblary名 : Part List
--------- : ---------------------
・ANALOG : R(抵抗)
・SOURCE : VPWL(電圧源)
・ABM   : LAPLACE(ラプラス演算),
     : DIFF(比較器)

(9)追加されたライブラリを確認する.
ANALOG とSOURCE および ABM が追加されていることを確認.

orcad09


§3 例題演習

(1)回路図を作成する.
   ここでは,回路図として単純な「一次遅れフィードバック回路」を作成し,"ステップ応答" のシミュレーションを行う.

【作成する回路図:一次遅れフィードバック回路】

orcad10


(2)R,VPWL,LAPLACE,DIFF をPAGE1 のシートに配置する.
   画面右の Libraries:項目 の ABM,ANALOGまたはSOURCEを選択し,
   必要な部品をダブルクリックする.PAGE1 のシートにカーソルを持っていくと,部品を配置できる.
   各パーツの値の設定は,値の部分をダブルクリックして設定する.

【抵抗】
-- R : 1KΩ (注: ダミー抵抗,値は任意,LAPLACE 使用時は必ず設置する)

【電源】
-- VPWL : AC=1, t1=0, v1=0, t2=10u, v2=1, t3=10m, v3=1 (注: ステップ信号発生器)

【LAPLACE】
-- 分母: 10*s (注: s はラプラス変数,10(sec) は時定数)
  分子: 1


● 単位の接頭語と略記号: pico=p, nano=n, micro=u, milli=m, kilo=k, mega=meg, giga=g, tera=t

それぞれのパーツを配置し,値を設定すると以下のようになる.
電源(VPWL)はダブルクリックするとパラメータ表が現れるので前述の値を記入する.
(即ち,AC=1, t1=0, v1=0, t2=10u, v2=1, t3=10m, v3=1)

orcad11

(3)部品間を結線する.
   結線は,「Place」をクリックし,「Wire」を選択する.その後,クリック&ドラッグで結線する.

orcad12


結線した回路は以下のようになる.

orcad13

(4)グランドを設定する.
   「Place」を選択し,「Ground」を選択する.
   Place Groundのダイアログが表示されるので,SOURCEをクリックし,Symbolを0に設定して,OKをクリックする.
   グランドパーツと回路を結線する.

orcad14


orcad15


グランドの結線が完了すると,以下のような状態になる.

orcad16


● 回路の配線が完了した時点で,保存 [Ctrl] + Sしておく.


§4 シミュレーション

(1)電圧プローブを設定する.
   画面上の「PSpice」を選択し,「Markers」を選択する.「Voltage Level」を選択し,回路中に電圧プローブを配置する.

orcad17


ここでは,LAPLACE 出力の電圧変化を取得している.

orcad18


(2)シミュレーションの設定をする.
   左上にある「New Simulation Profile」ボタンをクリックする.
   New Simulationダイアログが表示されるので,適切な名前を付ける.ここでは,example_simと名付けた.
   名前を付け終えたら,Createボタンを押す.

orcad19


(3)つぎに,時間解析の設定を行う.
   Simulation Settingsダイアログ上で,Analysisタブで以下の設定を行う.

・Run to time (実行時間):15 [sec]
・Start saving data after (データ保存開始時間):1u [sec]
・Maximum step size (最大ステップサイズ):15m [sec]

orcad20


(4)シミュレーションを実行する.
   緑色の「Run PSpice」ボタンをクリックする.

orcad21


(5)「View Sumilation Results」ボタンをクリックする.
   シミュレーションが実行されると設定した通りの実行結果がトレンド表示される.

orcad22A.png

(6)カーソルを使う.
   左上にある 「Trace」→ 「Cursol」→「 Display」を選択し,X軸(時間軸)の 10秒 とカーブの交点
   をクリックする.Y軸(出力値)は約 63% である.

orcad23



(EOF)
  1. 2015/12/19(土) 15:47:36|
  2. OrCAD